賃貸物件売却の足を引っ張る残置物の対策は?

買主心理に大きなマイナス!残置物が売却に与える影響

賃貸物件の売却を検討し始めたとき、思わぬ障壁となるのが「残置物」の問題です。
家具・家電・日用品など、退去した入居者の荷物が室内に残されているケースは珍しくありません。
「売却の目途が立ってから処分すればいい」と後回しにするオーナー様もいますが、以下の3つの悪影響を及ぼす可能性があります。

まず、「価格交渉への影響」です。
敷地や室内に大量の残置物がある場合、買主から処理にかかる費用を差し引いた価格を提示されることがあります。
次に、「内見時の印象悪化」です。
残置物はそれだけで物件のイメージダウンになります。

さらに、残置物によって床・クロス・設備の状態が確認しにくくなるため、買主は「物件の状態に不安」を抱き、買入申し込みをするのに慎重な姿勢をとりがちです。

そして、「融資審査への影響」です。

買主がローンを利用する場合、残置物の存在が金融機関の担保評価に影響する可能性があります。
このように残置物は、売却価格や買主の判断にまで関わる問題です。
本記事では、賃貸経営における残置物問題を売却実務の視点から解説します。

残置物処理を進める際に意識したいポイント

残置物を処理する際の注意点は、「勝手に処分してはいけない」ことです。
たとえ放置されていても、法律上、残置物は入居者(または元入居者や相続人など)の財産です。
そのため、以下の内容を意識して対応する必要があります。

・無断で処分すると、訴訟リスクがある
・退去後でも、明け渡し完了の確認が取れていない場合は慎重な対応が必要
・元入居者と連絡が取れない場合は、弁護士や司法書士に相談するのが得策

とくに注意したいのが、次のケースです。

・夜逃げした入居者の荷物
・相続案件で所有者が不明確
・孤独死後の家財

これらのケースで「不用品だろう」と判断して処分するのは危険です。
たとえば、相手方が後で「高価な品があった」「処分に同意していない」「遺品を返してほしい」などと主張してくることがあります。
こうしたトラブルを避けるためには、次の項でご紹介する手順を踏んで対応することをおすすめします。

残置物を売却前にスムーズに処分するための流れ

残置物の処理の実務では、適切な手順に沿って、証拠を残しながら進めることが重要です。
ここでは、訴訟リスクを回避・軽減しやすい基本的な流れを紹介します。

STEP1:残置物の現状を記録する

最初に、物件内の残置物をリスト化します。
家具・家電・日用品などを整理し、品目・数量・状態を記録しておきましょう。
後から「高価な品があった」「壊れていなかった」と主張された場合、記録が反証資料になります。
また、事前にリスト化しておくと、廃棄物処理業者への見積り依頼も進めやすくなります。
リストとともに写真や動画を残しておくと、弁護士や裁判官が後から状況を把握しやすくなります。

STEP2:相手方へ書面で通知する

次に、元入居者や法定相続人へ連絡を行います。
電話や口頭だけの連絡は避けた方が安全です。
「聞いていない」と言われるリスクがあるため、配達証明郵便など記録が残る方法をおすすめします。
相続案件では、原則として相続人全員への連絡が望ましいです。
通知時には、以下の内容を明確に記載します。

・保管期間
・期限後は処分する予定である旨
・引き取り方法

実務上の保管期間は状況によって異なります。
たとえば、夜逃げ案件では通知後2週間〜1か月程度、単身高齢者の孤独死では死亡後少なくとも3か月かつ契約解除後に処分が可能と考えられます。※これらの期間は、法令上の確定基準ではなく、あくまでも実務上の目安です。

一定期間保管すれば訴訟リスクがないわけではありません。ご注意ください。

STEP3:同意を得る、または経緯を記録して処分する

相手方から「処分してよい」という同意が得られた場合は、必ず書面で残します。
口頭の合意だけでは、後から内容を否定される可能性があります。
そのため、同意書や覚書に署名をもらうのが得策です。
一方で、連絡が取れないケースもあります。
その場合は、以下の内容を記録したうえで、処分を進めましょう。

・通知した事実
・保管期間
・連絡履歴
・処分日時

ただし、価値がわからない品が含まれる場合や、相続案件などの場合は注意が必要です。
自己判断せず、弁護士や司法書士へ早めに相談するのが安全です。

STEP4:処分後の証拠を保管する

処分は、一般廃棄物許可業者に依頼してください(事務所の場合は、産業廃棄物収集運搬業許可の業者)。
処分完了後も、関係書類は保管しておきましょう。
とくに重要なのは、以下の書類です。

・業者の領収書
・見積書
・産廃の場合は、廃棄物管理票

「適正に処分した」という証拠が残っていれば、トラブルに発展した場合でも対応しやすくなります。
また、1~3月の引っ越しシーズンは、処分業者の予約が埋まりやすくなります。
売却スケジュールへの影響を避けるためにも、早めの手配をおすすめします。

処理後の清掃と、今後のトラブル対策

売却活動をスムーズに進めるためには、残置物処理後の清掃も欠かせません。
ゴミ撤去や臭気対策、換気を行い、必要に応じてリフォームも検討しましょう。
複数物件を所有するオーナー様は、今後の残置物対策も大切です。
残置物トラブルを未然に防ぐために、以下の対策をおすすめします。

・契約書に残置物に関する項目を盛り込む
・退去立ち会い時に残置物がないことを書面で確認する
・夜逃げや連絡不通者への対応を決めておく
・相談できる専門家を事前に探しておく

また、高齢者の孤独死に備える場合は、国土交通省・法務省が令和3年6月に公表した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」も参考になります。
これは、居住支援法人などを受任者とする契約をあらかじめ締結しておくことで、孤独死発生時の残置物処理をスムーズに進められる仕組みです。
詳細は「残置物処理 モデル契約 ガイドブック」のキーワードで検索するとご覧いただけます。

ここでは、残置物処理の適切な手順を解説しましたが、オーナー様が自力で処理を進めるのは容易ではありません。
当社では、残置物の処理を含めた売却サポートが可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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